読書を通して哲学について考える【史上最強の哲学入門 飲茶著】

読書を通して哲学について考える【史上最強の哲学入門 飲茶著】

自己分析2021.06.15

自己分析を通して自分探しをしていると、ふといろいろ考えてしまうことがあります。例えば「生きるとは何か?」「何のために働くのか?」「人はどこから来てどこへ行くのか?」ちっぽけな疑問から壮大な疑問まで、「?」に取り憑かれてしまうことはありませんか? それはまさに“哲学”への入り口なのかもしれません。


そこで今回は哲学の入門書として話題の一冊をご紹介します。どうしても小難しくなってしまいがちな哲学をハイテンションに、そして分かりやすく紹介してくれる、まさに引き込まれる一冊です。

哲学入門にあのバキ?

哲学入門にあのバキ?

この本の著者である飲茶さんは「哲学初心者や、哲学を学ぼうとして何度も挫折した人向けに、30人ぐらいの哲学者を一人一人紹介していくような気軽に読める入門書を書いてほしい」という執筆依頼に対して、今までの哲学入門書に足りなかったものは何か?と考えた末に独自の方法論を思いつきます! それは【バキ要素】!


バキ…そうあの有名格闘技漫画シリーズの刃牙のことです。ありとあらゆる格闘技の達人やチャンピオンたちが“最強”を目指して戦い続ける男たちの物語です。そんな胸たぎる【バキ要素】を哲学入門書に盛り込んで生まれたのがこの本なのです。


バキを知っている人ならもちろんのこと、知らない人でも十分に引き込まれる熱い内容に読んでいるこちらもどんどんテンションがアガっていきます↑ もちろん少し哲学のことを知っている人でも十分に楽しめますよ。何千年もの間哲学者たちが探し求めてきた「史上最高の真理」を今紐解くぞぉぉぉぉっ!(※このようなテンションなのです)

31人の哲学者が登場! それぞれの思想が分かりやすく理解できる!

31人の哲学者が登場! それぞれの思想が分かりやすく理解できる!

この本では紀元前から現代に至るまで数多くの哲学者たちが登場します。その哲学者たちはそれぞれ自身の思想を唱えていました。それを「得意技」として紹介するのもこの本の特徴です。バキ感出てます!そんな歴史上の哲学者の得意技=思想は現代を生きる我々にとっても気付きを与えてくれるものばかりです。


本の中ではラウンド制で4ラウンドまで31人の哲学者が登場します。

【第1ラウンド 真理の真理】

  • - プロタゴス
  • - ソクラテス
  • - デカルト
  • - ヒューム
  • - カント
  • - ヘーゲル
  • - キルケゴール
  • - サルトル
  • - レヴィ=ストロース
  • - デューイ
  • - デリダ
  • - レヴィナス

【第2ラウンド 国家の真理】

  • - プラトン
  • - アリストテレス
  • - ホッブズ
  • - ルソー
  • - アダム・スミス
  • - マルクス

【第3ラウンド 神様の真理】

  • - エピクロス
  • - イエス・キリスト
  • - アウグスティヌス
  • - トマス・アクィナス
  • - ニーチェ

【第4ラウンド 存在の真理】

  • - ヘラクレイトス
  • - パルメニデス
  • - デモクリトス
  • - ニュートン
  • - バークリー
  • - フッサール
  • - ハイデガー
  • - ソシュール

知っている名前もちらほら? まったく知らない聞いたこともない名前も多いのではないでしょうか? これだけの哲学者の思想についてこの一冊でなんとなく知ることが出来るのです。そう考えると哲学入門書としてはかなりお得な感じがしますね。

熱い男ソクラテスの必殺技を知っているか?

熱い男ソクラテスの必殺技を知っているか?

あの紀元前の有名な哲学者ソクラテスの得意技とは?それは「無知の知」です。


相手に質問を繰り返し、最終的に相手が論理の矛盾に陥り答えられなくなる。そうやって次々と政治家たちを論破していった紀元前の論破王だったソクラテス。そんな彼はただ知ったかぶりの政治家たちとケンカがしたかった訳ではなく、真理を探求していたに過ぎなかったというのです。そのうえで知らないと思うからこそ、知りたいのであるとして「自分が何も知らないということを認めるところから始めよう!」というのが「無知の知」の真の意図だったと本の中では説明しています。


なるほど! かなり分かりやすい! ソクラテスが真理を追い求め、最終的には死刑になるという生き様を知ると熱くなります。命をかけて信念のもとに真理を追求した男の最後の姿はその場にいた若者達の胸に深く刻まれたというのです。命をかけた熱い男ソクラテス。まさにバキ感です。

神殺しニーチェの得意技、超人思想!

神殺しニーチェの得意技、超人思想!

哲学者として一般的にも広く知られているニーチェですが、どんな思想を持っていたのか答えよ!と言われてもイマイチ分からないという人も多いのではないでしょうか?


この本ではそんなニーチェの哲学も紹介しています。ニーチェの哲学思想=得意技は「超人思想」です。これまた強そうなバキっぽさが出ていますね。そもそもニーチェは自身が書いた小説「ツァラトゥストラはかく語りき」の中での「神は死んだ」というパンチラインが超有名ですが、彼は神を「弱者のルサンチマン(恨みや嫉妬)が生み出したものに過ぎない。神への信仰が人間本来の生を押し殺してしまっている」と捉えていました。


この本の中では、神が死んだその先の世界をどう生きるか?を提案したのがニーチェの偉さなのだと紹介しています。そしてそれこそが得意技の「超人思想」だというのです。


神への信仰が押し殺していた人間本来の生=真っ直ぐな欲望こそが力への意志であり、その意志に赴くまま強くなることを目指す者のことを超人と表しました。バカでかい猿と戦ったり、背中に鬼の顔が出るほどの筋肉ムキムキということではないんですね。


難しい「超人思想」について本の中では熱く分かりやすく説明してくれています。今の世の中を生きる我々のことを予言していたかのようなニーチェの哲学を知るきっかけとなるはずです。

この本を読んで哲学を考える。

この本を読んで哲学を考える。

自分の得意不得意や活躍できるフィールドなどを自己分析を通して知ることが出来ますが、それは自分がどう生きていきたいか? を考えるきっかけにもなります。自分らしく生きることを目指しそのために自分自身と向き合う人は増えています。そのためのフレームワークや書籍、さまざまなテストも世の中に溢れています。


そんな「自分とは?」という疑問はまさに哲学的な問いであり過去何千年もの間哲学者たちも追い求めてきたことでしょう。知らないことを知りたい!という欲求で真理を解き明かそうとしてきた過去哲学者たちの思想は今を生きる我々の自分探しのヒントが詰まっています。その上でもかなりオススメな一冊です。


人類数千年にも渡る、哲学者たちの熱い闘いをぜひお楽しみください!

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