読書を通して天才について考える【天才はあきらめた 山里亮太(南海キャンディーズ) 著】

読書を通して天才について考える【天才はあきらめた 山里亮太(南海キャンディーズ) 著】

自己分析2021.06.07

あなたの周りに天才はいますか?またはあなたは誰かに天才だと呼ばれたことはありますか? 人々から羨望の的または畏怖の念を抱かれるほど才能のある者のみが呼ばれることを許される“天才”とは一体どのような人なのでしょうか? 今回はそんな何か抜きん出た才能を持つ特殊な存在である“天才”について考えさせられる本のご紹介です。内容を追いながら天才について考えてみましょう。

『天才はあきらめた』山里亮太 著 

この本の著者である南海キャンディーズの山ちゃんこと山里亮太さん(以下山ちゃん)のツッコミはお笑い界のツッコミ革命だったと言われています。ツッコミの概念を変えてしまったあの独特な言い回しとトーン、そして世に出た当時のキモカワなキャラクターでまたたく間に人気芸人となりました。そんな山ちゃんによる妬み嫉みと復讐心を燃料にどう生き抜いてきたのか? この本は天才をあきらめた一人のお笑い芸人の自叙伝です。

それでも周りは山ちゃんを天才と呼ぶ

それでも周りは山ちゃんを天才と呼ぶ

そもそも山ちゃんという芸人の評価の高さは同業者からのコメントからも分かります。この本の解説でオードリーの若林正恭さんは「彼が言われたら一番困る言葉であり、一番言われたい言葉をもう一度言おう。“山里亮太は天才である”」と記し、M-1の審査員を務める誰もがその実力を認めるナイツの塙宣之さんは「彼は紛うことなき天才ですよ。山ちゃんが出てきてから、ツッコミの概念が変わっちゃいましたから。」と語っています。


同業者の実力者たちから“天才”と呼ばれるほどの男が自分が天才ではないことに絶望し、ついには天才になるのは「あきらめた」と言います。山ちゃんの考える天才とは「自分は何者かになる、その何者かになるために必要なことをことを呼吸のようにできる人」であり、そもそも昔からハッキリと自分は天才じゃないと自覚していたそうです。

偽りの天才を演じるガソリンは劣等感

偽りの天才を演じるガソリンは劣等感

山ちゃんは言います。「息を吸うように当たり前にそれができる天才を目指すなら、しっかりと計算して同じようなことをしなければならない」と。そんな山ちゃんの特筆すべき点は、小さなポジティブを大事に張り合わせハリボテの自信で身を固め、徹底的にネガティブな感情を溜めまくりそれを燃料として燃やしながら、戦略を練り偽りの天才を演じていったということ。天才を演じる努力=執念がもの凄いのです!そのためならいくらでもゲスくなれたのです。その結果、人を傷つけ自分も傷つき、ボロボロになったとしても、山ちゃんは自分が天才ではないという劣等感を胸に天才を演じる努力は怠りませんでした。


山ちゃんはそれほど何者かになりたかった、そのために天才を演じるようになっていったというのです。その思考のおかげで“かなり”いろいろとこじらせるのですが、それもまた読んでいてズキズキと胸に刺さります。

結成と解散の繰り返し、こじらせる偽りの天才

結成と解散の繰り返し、こじらせる偽りの天才

お笑い芸人を目指し大阪へ、親からの条件としての大学進学をすることになった山ちゃんはバンカラな男子寮に入寮します。そこでの先輩後輩との青春物語のような出会い、そしてNSC(吉本総合芸能学院)入り、同期のキングコングの才能と活躍に嫉妬しつつ、周りから天才と思われるように裏では努力という名のネガティブ燃焼を続ける日々を過ごしていきます。


NSCでは2度に渡るコンビ結成と解散。度を過ぎた偽りの天才は、相方をヒステリックなまでに追い込み2度も解散を告げられてしまいます。天才を演じるために自分の思うように相手を動かそうとする、ストイックになり過ぎてしまったという一面は相方をどんどん疲弊させていったのでした。


天才を演じることで万能感が出てきてしまう、こんなにも自分は考えているのに!と自分と同じように出来ない、考えられない人に対して強く当たってしまう。文中でも山ちゃんはそこを強く反省しています。「出来る人は出来ない人の気持ちが理解できない」というフレーズがありますが、それが本当の天才であれ偽物であれ他人を傷付けても良い権利など無いのです。

この本を読んで天才を考える。

この本を読んで天才を考える。

天才を演じるという努力を続けてきた山ちゃん。周りからどう思われるかを綿密に計算し策を練ってきました。その結果芸人としては成功を収めています。そして周りからも “天才”と呼ばれるのだからやはり山ちゃんは天才だと思わずにはいられません。自分の思う天才ではないのかもしれないけれど。


どうやったら天才になれるのか?果たして自分は天才なのか?と考えた場合、まず自分の目指す天才像と自分を比べなくてはなりません。その際自分のことをしっかりと分析できているほど「天才自己診断」の精度は高まります。理想と現実とのズレをどう埋めていくのか?それを山ちゃんは徹底していたのです。お笑いの才能はもちろんですが、山ちゃんは“復讐心をもの凄い熱量で燃やせる”ことと“天才を演じるための努力が出来る”という才能もあったのでしょう。


山ちゃんは圧倒的な負の感情をガソリンに常に行動を起こしてきました。その結果さまざまな問題があったとしてもそれは行動したからこその結果です。それを糧に進んできたからこそ現在の名声と成功があるのです。しかも周りから天才と言われるほどの高評価付きです。

自己分析で自分の才能や適正を知ることから

自己分析で自分の才能や適正を知ることから

天才とはそう簡単になれるものではありません。抜群のアイデアをひらめける力、類稀なる身体能力などは生まれながらの素質も大きく影響します。人とは違う圧倒的な才能を持つのが天才なのだとしたら、その才能を上手く活かしきれないと素養がいくらあっても天才にはなれない、天才として開花しないのです。


その才能を上手く使うために努力が必要な分野もあるでしょう。パッとやって出来てしまうような分野もあるでしょう。または周りの力あってこそ活かせる場合もあります。どちらにせよ自分の才能をしっかりと理解できてさえいれば、それが活かせる、開花するフィールドに身を置くことも出来るはずです。そのためにも自分自身を知るための自己分析が必要です。もしかしたらあなたの中にも天才の素質があって、それを活かすことができれば才能が花開くかもしれませんよ。

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